言葉では表すことができない至極幸せな体験。それはまるで「宇宙に漂っているかのような感覚」とも形容される。サウナ界隈ではそれを「整う」と表現する。プロのサウナーにのみ可能な境地というイメージがあるかもしれないが、実は原理と方法を知れば、初心者でも再現可能であるという。
サウナって何・・・?
今からおよそ6000年前、現在のフィンランドにフィン族という種族が存在しました。極寒の北欧の地にて人々の健康を保つために用いられた「自然健康法」の一つが現在のサウナになります。80度〜100度の高温の中でじっとしている。そんなサウナは「おじさんが利用するもの」というイメージが先行されています。しかし本当は、そんなイメージでおさまるものではありません。サウナの作法をきちんと守り、サウナに対して適切に向かい合うことができれば、全がありまた無があるような至極の体験「整う」が待っています。今回はそんな「自然健康法」の一つであるサウナの紹介、サウナとウェルビーイングの関係をレポートします。
サウナで味わう多幸感は「宇宙に漂う」感覚
サウナは日常生活では経験できない多幸感を味わうことができます。巷ではこの多幸感を「整う」と表現しています。この整うという現象は、言葉では表すことができない至極幸せな体験。それはまるで「宇宙に漂っているかのような感覚」とも形容されます。日常における一切の苦労が全て報われるような心地で「ずっとその状態が続けば良いのに。」と思うのですが。その状態は数分しか続きません。しかしそれを一回味ってしまうと。求めてしまうのが人の性。サウナにハマり、サウナを愛てしまうのです。
しかし「整う」という体験は、ただサウナに入るだけでは達成しません。整うに至る作法があります。その作法を紹介します。
サウナで「整う」ための具体的な方法
【1】身体を清める
整うためにはまず自分の体を清めましょう。体・頭をよく洗い整うために適切な状態を作ります。
【2】サウナに入る
タオルで身体全体の水を拭き取りサウナに入りましょう。サウナに入る時間は8分〜12分が理想的です。整う状態を作るには視覚以外の感覚に集中することが大切です。呼吸や周囲音、自身の血流の音などを意識して座りましょう。「ややきつい」と感じるか心拍数が110〜120の状態になってきた時がサウナを出るタイミングです。心拍数はサウナの中にある時計で10秒間を目安にして測ってみてください。
例:10秒間で20拍 20×6=120
【3】水風呂に入る
しっかりと掛水もしくは掛け湯をし汗を流した後に、水風呂に入ります。自身が一番リラックスできる姿勢をとり。その心地よさに浸りましょう。気道がスースーしてくるような感覚がしたら水風呂から上がるタイミングです。
【4】外気浴
身体をしっかりと拭いて外気浴ができるスペースに向かいます。体が濡れた状態で外気浴を行うと気化熱によって身体が冷却され至極の体験「整う」に達することができません。なのでしっかりと身体の水気を取りましょう。そのあとは自信が最もリラックスできるスペースで、時を待ちます。
上記の1から4を3セット繰り返します。最後のセットは体が冷えすぎないように、湯船に入ったり、シャワーで温めたりしましょう。
この作法のなかで「整う」という体験を引き出すことに成功します。外気浴で整っている最中では自分自身と周りの輪郭が溶けて一つになりような感覚に没入します。その至極幸せな境地は、皆さんをよりwell-being(より良い)な状態へ誘います。
サウナで見る宇宙「整う」の方法と原理
“整う”という現象の原理とサウナ効果
さて先ほどから紹介されている「整う」という現象ですが、それはなぜ起こるのでしょうか?ここではその現象の医科学的な根拠と、その現象による効果を紹介します。
人間の身体にはが標準状態に戻すという振り子の原理(ホメオタシス)があります。例として人間の体温で説明します。標準体温は36度であり、高温環境では36度に維持するために放熱作用として発汗を起こします。また低温環境では筋肉の痙攣(けいれん)を引き続き起こし体温を上昇させます。寒い時にブルブルしたり、暑い時に汗をかいてしまうのはこれが理由です。この振り子の原理(ホメオタシス)を神経系を観点に利用して至極の境地「整う」という現象を生み出しているのが、僕たちの愛するサウナと水風呂そして外気浴です。
80度から100度までの高温の環境は、人間の身体にストレスを与えます。体温(36度)の2倍以上もある高温の環境に人間は長時間いつづけることができません。なので、人体は無意識に「この場からすぐに逃げろ」と身体を緊張状態にさせます。この緊張状態の際に人間の交感神経というものが優位に働き、より活動的な状態を作ります。心拍数は上昇し、発汗がおき、血流は促進されます。
8分〜12分サウナの中に滞在した後、極度の高温刺激によって緊張状態になっている身体は冷水浴・外気浴で極度のリラックス状態になり、標準状態へ急激に戻されます。この極度のリラックス状態では、副交感神経が優位に働きます。人体は無意識に「この場所は至極、安心安全な場である」と身体をリラックス状態にさせ、非活動的な状態を作ります。この極度のリラックス状態の中で感じる至極の体験が「整う」という現象の正体です。
この振り子の原理を短時間で効果的に行えるというサウナ・冷水浴・外気浴という環境設定によって至極の快楽「整う」が引き起こされます。さらには、副交感神経の作用によって安眠効果や痛みの鎮痛効果を引き出すことに成功するとも言われています。詳しくは、以下のような研究結果も出ているようです。気になる方はチェックしてみてください。
サウナに関する興味深い研究
- 18歳のアスリートたちに行った研究(putkonen , Elomma 1996)によれば夜間に記録した脳波では、サウナを利用したアスリートの方が深い眠りが観察されています。ノルアドレナリン(興奮した時に出る物質)がサウナ利用時に過剰に刺激されることによって、サウナを利用した後人間の生理的機能の一つであるホメオタシスの機能によって、一時的にノルアドレナリンを減少させセロトニン(深い睡眠の際に出る物質)分泌を引き起こします。このことが深い睡眠を加速させます。
- laitinenら(1988)の研究では、サウナ利用する人25人、そうではない人25人を3ヶ月にわたり比較した実験でサウナ利用者は風邪にかかる人が50%少なかったと示している。
- kukkonen-harjula(2006)によると、サウナの使用は筋骨格系による損傷と痛みを和らげる。極度の高温と冷却の組み合わせがβ-エンドルフィンの分泌による鎮痛作用を引き起こすることを示唆した。
効果
・安眠効果
しっかりと整った日には、深い眠りが待っています。ただ深く眠りすぎて会社に遅刻しないように気をつけましょう
・血流促進効果
心拍数の上昇に伴い血流が促進されています。習慣化できれば冷え性などの問題が解消します。
・疲労回復効果
血流の促進に伴い疲労性の物質を除去できます。
・痛みの鎮痛効果
副交感神経の作用によって痛みが抑制されます。
・風邪の予防
上記の研究によると風邪にかかるリスクが減少します。
サウナは、運動・食事を合わせて行う!
サウナと運動そして食事を合わせればよりリフレッシュ効果と健康を促進することができます。特にお勧めなのが、「コンディショニング30分→有酸素運動30分(ランニング・自転車)→サウナ・冷水浴・外気浴3セット→幸福を育む食事」の組み合わせ。デスクワークで動かしていない筋肉をしっかりとコンディショニングという身体の機能改善を目的とした運動をで動かし、有酸素運動で日頃使っていない心肺機能を使い、その後サウナの利用で整うことができれば、デスクワークの疲労感が宇宙の彼方に吹っ飛んでしまうくらいリフレッシュできます。その後、美味しい食事、前回の記事でも載せたような食事をとることができれば、多幸感が増大すること間違いありません。ここではコンディショニングエクササイズや有酸素運動に関しての紹介は後日また、ということで今回は割愛させていただきます。次号が待てないという方は身近にいるトレーナー/インストラクターに聞いてみてください。
サウナで注意すること
サウナを利用する際に、皆さんが快適に利用できるように注意するポイントもあります。適切な利用が皆さんのwell-being(より良い状態)を加速させるので、ここでは注意ポイントを紹介します。
15分以上は入らない
15分以上のサウナではコルチゾールというストレスホルモンが上昇してしまいます。コルチゾールは骨格筋内のタンパク質の分解を促進するので、疲労感が除去できない可能性があります。特に運動(筋トレやランニング)の後などは気を付けましょう。また貧血の症状が出やすくなるので15分以上は入らないようにしましょう。
外傷をした場合には入らない
足首の捻挫などの外傷を伴った場合は治りが遅くなるので避けましょう。
お酒を飲んだ後に入らない
アルコールの利尿作用により脱水状態になりやすくなってしまします。
外気浴ができない場合は
室内に扇風機などが設置してあればそこで、座る場所や休める場所があればそこでリラックした状態を作りましょう。
水分はしっかりと取れるように
脱水状態を避けるために1セット終了ごとに200mlから250mlの水分を補給しましょう。お勧めは大塚製薬のポカリスエットです。また温度は5度のものが最も吸収されるので冷たい飲料水を飲むと良いです。極度に冷やした氷水は身体の体温調整系にネガティブな影響を与えるのでお勧めしません。
以下の症状の人は入らない
- 起立性低血圧
- 激しい炎症のあるリウマチ性関節炎
- あらゆる種類の発熱
- 神経系に影響を与える薬物治療をしている人
- 閉所性恐怖症とてんかん
- いくつかの皮膚病(コリン性蕁麻疹)
- 皮膚の擦り傷や吹き出物
- 静脈障害
- 心臓病の病歴がある人
- 妊娠中もしくわ妊娠の可能性がある
- ニコチンパッチを着用している人
現役サウナーおすすめのスポットを3つご紹介!
最後にサウナーである僕のお勧めスポットを3つ紹介するよ!
サウナシキジ(静岡)
静岡県静岡市敷地に存在するのがこちらの施設。この施設はサウナの聖地としてドラマ「サ道」でも紹介されている。入り口には、サウナ好きの芸能人の色紙で埋め尽くされており、有名人の方がわざわざ赴く有名な場所。そんなシキジの名物は天然水の水風呂。天然水を身体全体で堪能できるその多幸感は病みつき間違いなしです。ちなみにこの水ほんとに飲めます。持って帰る人もいるくらい。
サウナシキジ
https://saunashikiji.jp
池袋 かるまる(東京/池袋)
東京都池袋に存在するのがこちらの施設。4種類のサウナはサウナ好きにはたまらない作りになっている。サウナ以外にも水風呂や外気浴のスペースも抜群、そして休憩場所の快適さといえば全国ナンバー1クラス。男性しか入れないので、女性の方はごめんなさい
池袋 かるまる
https://karumaru.jp/ikebukuro/
ウェルビー(愛知/名古屋)
愛知県に出張が会ったら必ず訪れたいのがこちら、食事・サウナ・休憩全てが満喫できる施設。なんと言ってのオーナーのサウナ愛がたまらない。サウナーにはたまらないサウナヨガを受けることができるのも、ここならではの特徴です。
ウェルビー(愛知/名古屋)
https://www.wellbe.co.jp/meieki/
THERMAL SPA S.WAVE(神奈川/大磯)
神奈川県大磯ロングビーチに併設されているのがこちらの施設、ラグジュアリーな空間の中で堪能する整うの体験は心と体を最高な状態へと誘います。さまざまな種類のサウナのほかに、岩盤浴やインフィニティプールなどもあります。神奈川に立ち寄っときには行きたくなるそんな場所です。
THERMAL SPA S.WAVE(神奈川/大磯)
https://www.princehotels.co.jp/oiso/spa/
それでは、皆さんもサウナの習慣を日常に取り入れて至極の快楽を味ってみてください。
参考文献