日本人口の40%が「低所得者層」といわれる現代社会で発生している格差は単純な所得だけにとどまらない。実は所得の格差に起因して「健康」にも格差が生じている言われているのだ。低所得者であり「健康の貧民」でもある人々にとって救世主となり得る存在、それがポケモンGOという位置情報ゲームアプリ。今回は、健康格差が乗じる仕組みとポケモンGOがどのような希望となるのか、解説していく。
所得格差と健康格差の関係
貧困の多い日本の社会
みんなは日本の相対的な貧困の状態って知ってる?実は37ヵ国の先進国の中でも下から9番目。日本人の6人に1人は貧困層なんだ。お金にすると月に10万円が手取りの人たち、具体的にどんな方々かというと、老人・フリーランスや非正規雇用者・シングルマザー・子供などがその層に該当するんだ。
- 高齢者
高齢者の5人に1人が貧困層。 - シングルマザー
ひとり親世帯の54.6%が貧困層。 - 子供
17歳以下の7人に1人が貧困層。
また、低所得者層は一般的には300万円以下の人たちを表していて、手取り25万円以下の層は日本人口の40%とされているんだ。また、20代前半の若者の平均所得は282万円ととても低い水準にあるのが現在の状態なんだ!
なぜ低所得者層ほど「健康貧民」になるの?
所得の格差がどうして「健康格差」に繋がるのか所得が少ない場合、安価でエネルギーを補給することができるインスタント麺やファストフードに手を伸ばすことが多くなる。生活を送る上での食事に偏りが生まれている。また労働時間の苛烈さから健康診断を受診することができず、深刻な状態になって初めて不健康に気がつくようなケースも多い。ストレスも過度にたまりやすいことは容易に予想ができる。そして、家族が低所得が故に適切に教育を受けることができない場合は健康リテラシーが無いことによって不適切な生活習慣を行う傾向にある。これらの結果、悪循環が生じ裕福な層が享受している豊かな生活を送ることができない。
所得格差から生まれる「健康格差」の具体例
そんな所得の格差は健康の格差につながっている。そこで、所得格差による「健康格差」の具体例を簡単にまとめたよ。
- 低所得者は不眠になりやすい
不眠の割合は年収200万円未満の人で60.1%に対して400万円の人では48.9%と1割以上の差があると言われている。
- 貧困層は鬱になりやすい
男性に限ると所得が低くなるほど鬱の状態が高まると言われている。400万円以上の人は2.3%だけど100万円以下の状態になってしまうと15.8%と約7倍も多いと言われてる。
- 低所得者は要介護リスクが高まる
要介護者は高所得者層と比べ低所得者層では5倍も多い
- 低所得者は死亡率が高い
AGESプロジェクトの高齢者1万644人を3年間追跡した結果、低所得者層は統計的にも死亡率が高かったことが明らかになっている。
- 低所得者は生活習慣病にもかかりやすい
肥満や脳卒中のリスクが1.5倍高いという研究もある。
あなたの職場は大丈夫?若者ほど注意すべき労働環境
同じ若者なのでとても他人事ではないのだけれど、皆さん大丈夫!?苛烈な労働環境や職場関係の悪化、そして低所得な状態は、確実に生活習慣を悪い方向に転じさせる傾向にある!労働環境と所得は自身の生活習慣に深く関わっているから、適切な健康の知識がない場合は、悪しき習慣を無意識の内に育み、30代後半になった時には生活習慣病予備群になっている、なんて、よくある話だろう。特に現在の職場が社員の健康について無知な職場の場合は気をつけて!気をつけるというか、やばいよそういう会社は。
- 残業がたくさんある系会社
- 職場の雰囲気がよくない系会社
- 風邪の人がよく出る系会社(コロナで減ったかもね!)
- 風邪ひいても会社に出るという空気感作る系会社(コロナで減ったかもね!)
- 離職する人が多い系会社
- 収入があまり上がらない系会社
ただそのような環境で生活習慣を上手く維持できる人いたら。自身のセルフマネジメントを経営マネジメントに転換させて起業するべしだね。(半分冗談
子供の教育環境は大丈夫!?健康格差は知識の格差
子供の教育環境でよくあるのが、部活動やチームスポーツで指導者が適切な健康の情報を把握していないということ。もし適切な指導力を有していない場合は、健康知識における格差につながってしまう。しっかりと健康について理解のあるクラブでは、トレーナーがいたり、年に何回かのセミナーが開かれたりしているはずだよ!
高所得者層の人も見過せない健康格差。
高所得者層の人も健康格差は見過せない問題だ。このまま健康格差を見逃すと、日本の医療費や福祉費が国家財政を圧迫することは容易に考えることができます。その結果、税金や保険料が上がっていくことは容易に想像がつきませんか?ちなみに厚生労働省(平成2016年版厚生労働白書)の試算では健康格差を解消することができれば、10年間で5兆円の社会保障費を削減できるとしています。
ポケモンGOは健康格差を救うツールとなるのか?
健康格差の解決に繋がる?ポケモンGOのもつ性質
ポケモンGOは現実世界を舞台にポケモンを捕まえたり、トレーナー同士でバトルをする位置情報ゲームアプリ。ゲーム利用者はゲームの目的を達成するために目的地まで歩くことが必要になって、楽しみながら歩くことが生活習慣病の予防になると医療界隈でも話題になっているほどなんだ。
スマートフォンさえ手元にあれば基本的には誰でも無料で利用できるアプリ、格安のスマートフォンであればさらに安価で利用することができる。つまり、低所得層に分類される人々にとっても、簡単に利用できるツールであるということなの。
上記のようなポケモンGOの性質から、健康改善のアプローチのためのツールとして注目が高まっている。これまで行われてきた健康改善のアプローチは、そのターゲットにより2種類に分けられて、それを「ハイリスクアプローチ」と「ポピュレーションアプローチ」なんていうよ。
焦点を絞るアプローチ(ハイリスクアプローチ)と的を絞らないアプローチ(ポピュレーションアプローチ)
2000年から2010年まで日本はメタボリックシンドロームのリスクにかかっている人間に焦点を絞った健康改善アプローチ(ハイリスクアプローチ)を実施していたんだ。しかしその結果はほとんど効果が得れなかったの。その理由は、当時2000万人と極めて多くのメタボリックシンドローム該当者がおり、治療法も明確に確立されてなく、指導は短期的なもので長期的なものへ及んでいないことが原因だと考えられているんだ。
そこで近年では、対象を健康リスクが高い人へと的を絞らないアプローチ(ポピュレーションアプローチ)が高い指示を得ている。一般的な人も巻き込み「原因の原因」そのものを狙い撃ちにして結果として問題を改善するという意図を持つアプローチ。そのようなポピュレーションアプローチの一端を担う可能性があるものとして、「ポケモンGO」が挙げられているのだ。
ポケモンGOは無意識のうちに生活習慣病予防に貢献している!東京大学の研究
そんなポケモンGOなんだけど、東京大学の研究チームはポケモンGOのサービスで遊んでいる人は1日平均9654歩を歩き、遊んでない人と比べ1891歩多かったという報告をしている。厚生労働省が生活習慣病予防の一貫として定める成人の1日における歩数の目標は男性9200歩、女性8300歩という数字から見てもポケモンGOの利用者は無意識のうちに生活習慣病予防の習慣を育んでいると言える。
ポケモンGOのような「無意識のうちに生活習慣を良い方向へと変える仕組み」の存在が、今後の私たちの社会におけるwell-beingにとって大きな可能性をもっていることは間違いなさそうである。
参考文献